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症例集cases

カイロプラクティックと妊婦 出産 産後の問題

女性にとって妊娠出産は、その人にとって人生のターニングポイントでありますが、身体にとっても大きな変化を迎える時であります。また母体の身体と骨格的な状態は胎児にとっても大きな影響を与えます。そこで、カイロプラクティックでの妊婦、出産、産後に関する考え方と症例をご紹介致します。


・女性の骨盤

骨盤を真上から見た骨盤底筋群の図

骨盤底筋群
黄色・・尾骨筋
紫・・・腸骨尾骨筋
オレンジ・・恥骨尾骨筋
橙・・・恥骨直腸筋
骨盤壁
赤・・・梨状筋
青・・・内閉鎖筋

































妊娠、出産に関する女性の骨盤において重要なものとして骨盤底筋群が挙げられます。骨盤底筋群は複数の筋肉によって形成され、骨盤から吊り下げられた筋肉のバスケットです。この筋群は子宮を安定させ、胎児の発育に大きく関与し、底部には産道が貫通しています。

歪んだ骨盤と骨盤底筋群















上記は骨盤の歪みによる骨盤底筋群の歪みの模式図です。この筋肉のバスケットは出産の際に骨盤の拡張と共に大きく広がることが必要となりますが、歪んだ状態であると胎児の母体内での発育環境に影響を及ぼし、分娩過程も困難になる可能性が予測されます。これは出産の際に母親と新生児に影響を及ぼす可能性を示唆します。

歪んだ骨盤の影響としては、妊娠期間中の腰痛、逆子、早産が代表的なものとして見られ、歪んだまま固着してしまった骨盤の場合には、新生児が低体重であったり非常に難産であるケースが見られました。また新生児の頭蓋骨の歪みにも影響すると考えられます。

正軸進入と不正軸進入























上記の左画像は胎児の正軸進入であり右画像は不正軸進入の模式図です。英国のスティーブ・ウィリアムス先生の著書によりますと、正軸進入とは分娩に際し、胎児の頭の前後径が母体の骨盤の横径に一致した状態であり、不正軸進入とは正軸進入の状態に当て嵌まらないものとされています。正軸進入の場合は母体内でのスペースを有効利用し円滑な分娩の可能性が高くなりますが、母体の骨盤に歪みがあり骨盤底筋群に歪みがあると胎児の胎位、胎勢、胎向が安定せずに不正軸進入になる可能性があります。不正軸進入の場合、胎児の回旋運動により正常な位置に戻る可能性がありますが、分娩が困難になるケースや新生児の頭蓋骨の歪みに影響する可能性があります。

妊娠、出産を控えている方にはカイロプラクティックのケアをお勧めします。妊娠後よりも妊娠前から定期的な矯正を行うことで、より効果的である臨床例が多く見られます。カイロプラクティックの矯正を受ければ誰でも100%円滑な出産をできるわけではありませんが、可能な限り様々なリスクを減らすことは十分に可能であると考えています。


・妊婦の方の矯正について

当院の矯正方法は穏やかな接触によるものが殆どであり、特に妊婦の方への矯正は極力最小限の力しか用いません。矯正の際の姿勢は仰向け、座位、立位で行い、うつ伏せでの矯正は行いません。骨盤が主要な矯正対象になりますが、全身を検査して矯正を行います。


症例
・20代女性 妊娠中の腰痛

学生時代から腰痛に悩まされ、結婚後に流産を経験されましたが、今回の妊娠後に安定期に入ったあとに腰痛が悪化してきたために妊娠5か月目に来院されました。実は今回の来院の7年前にもお母様のご紹介で2回ほど来院されたのですが、海外留学のためにその後は来院されていませんでした。

以前のカルテと私の記憶によると、前回の来院時は慢性的な腰痛と肩こりが主訴であり、非常に痩せ型の体型であり、骨盤、股関節、頸椎、頭蓋骨の柔軟性に乏しく、身体の状態としてはあまり良いとは言えない状態でしたが、今回も持続的に左の骨盤を中心とした痛みがあり、症状の強い日は1日中寝たままで、特に起床時と夕方以降に強い痛みを感じるそうです。

検査をしてみると、立位で左足に体重がかかることで痛みは憎悪し、座位から立ち上がる動作は非常に困難でありました。内臓は腎臓に負担がかかりやすい傾向がありました。ご本人様の希望もありうつ伏せの体勢はとらず、座位、立位、仰向けでの矯正を行うことにしました。

初回は腎臓、股関節を仰臥位で、骨盤を座位と立位で矯正を行いました。矯正後は左足に体重をかけた時の痛みの憎悪は減少していましたが、座位から立ち上がる動作は困難のようでした。

2回目は3日後に行いました。起床時の強い痛みは依然として残りますが、夕方以降には痛みが増加することは少なくなってきたそうです。この日も骨盤と股関節を中心とした矯正をおこないました。こちらの患者様は骨盤全体が大きく左側に回転する傾向が見られ、その方向を強調することで痛みも憎悪が発生するために、その制御が当面の課題となってきました。

3回目は1週間後に行いました。この期間は相変わらず痛みはあるものの、程度としては以前よりも落ち着いてきているために、日常生活は比較的楽であったそうです。歩いたりした方が良いかとご質問されましたが、状態を考えるとまだ見送ったほうが良さそうでした。この日も骨盤の回転を制御する矯正を中心に行いました。

4回目も1週間後に行いました。ここにきて骨盤の回転の傾向があまり見られなくなり、起床時以外は痛みの状態は緩和され、座位から立位の動作も比較的スムースに行えるようになってきました。この日は股関節と腰椎の矯正を中心に行いました。

5回目も1週間後に行いました。起床時の痛みの持続時間はかなり減少してきました。お腹もだいぶ大きくなってきたために、動きの大きな矯正は行わず、腰椎、股関節、頭蓋骨を中心に矯正を行いました。

その後はだいたい10日ごとに矯正を行い状態を安定させることに努めました。この頃になると腰痛の状態も安定傾向に入ってきたために、日課として散歩を行い産婦人科の先生の指導の下に腰に負担がかからないように体重管理にも重点をおいていました。

分娩間近になり胎児の体重の増加と共に、腰にかかる負担も大きくなってきたようですが、来院当初のようなひどい腰痛は発生せずに、出産の8日前まで矯正を続け、予定日より2日早く無事に男の子を出産されました。出産自体もとてもスムースであったそうです。

さて、こちらの患者様は産後2か月は来院されませんでしたが、出来るだけ早い時期に第2子をというご希望があったために、初産の時に経験した腰痛を起こさないために今後は予防的に矯正を行うことにしました。

さすがに出産後の2か月は、昼夜を問わず授乳やお世話に忙しく体力的にも消耗していたために、特にお子様をお風呂に入れる際には腰にかかる負担は大きく、腰痛に悩まされたそうです。しかし、学生時代の慢性的な腰痛に比べると程度は良いそうです。

初産の時は腰痛という症状の制御のための矯正が主でありましたが、今後は骨格を中心とした身体全体の耐性を高め、体質の改善を目的とした矯正が主となります。矯正の間隔としては2週から3週おきに矯正を継続することにしました。

産後に発生する腰痛は妊娠、出産による骨盤へのダメージの影響という考え方もありますが、個人的な見解としては、妊娠前の身体の状態に左右されるところが大きいと考えています。妊娠前から継続的に矯正を行い身体の状態の良い患者様の場合、妊娠中の腰痛の程度が軽く分娩もスムースで産後に腰痛に悩まされないケースが多く見られます。妊娠初期に産婦人科の先生から伝えられた出産予定日に出産された例もあります。

こちらの患者様は学生時代から比較的身体の状態としては良い状態ではありませんでしたので、体質改善のための矯正はとても有意義であると考えています。またお子様が6か月になる頃からお子様の矯正も始めました。

第2子の妊娠は約2年後になりました。この間に矯正と適度な運動を習慣化されていたために、身体の状態は初産の時と比較すると良い状態であると考えられます。2歳の男の子のお世話をしながらなので、体力的にも負担は大きかったと思いますが、腰痛を発生することなく妊娠7か月まで順調に進んで行きました。

事態が急変したのはその7か月の時でした。妊娠中にギックリ腰を起こしてしまったのです。こちらの患者様は以前に慢性的な腰痛はあったものの、俗にいうギックリ腰になったことはなく、突然の急激な痛みを伴う腰痛のためにご長男のお世話もできずに、ご実家のお母様の助力を得なければならずと精神的な負担を強く感じておられるようでした。妊婦さんのギックリ腰は全く動くことができずに、お父様が車で当院にお連れになりました。

私自身も来院していた妊婦さんがギックリ腰になるケースは初めてで、経過をみるために出来るだけ毎日来院して頂くことにしました。最も心配したことはこの状況が赤ちゃんに与える影響でした。通常のギックリ腰の患者様と同様にかなり前傾の姿勢になっていましたが、この前傾姿勢は赤ちゃんにとっては好ましい状態ではないと思われます。

結果としてはギックリ腰で来院した翌日は若干腰全体が重いという程度まで回復し、2日後には通常の生活を送れるくらいに回復したために、重篤な状態になることは回避できました。恐らく継続的に矯正を行っていたために、骨格の耐性が高い状態で維持できていたので回復はとても速かったですが、そのような状態でも様々な条件により一時的に状態が急変するという危険性があると思われます。

ギックリ腰発症後3日目には痛みのない状態になり、その後は安定した状態が続きました。出産間近の時期も腰痛はなく、お子様と一緒に散歩に出かけることが日課であったそうです。そして当初の予定日より3日遅れて無事女の子を出産されました。お子様の健康状態も良好で7か月の時のギックリ腰の影響は杞憂に終わりました。産後の腰の状態も良好でありました。

現在は長男さんは幼稚園の年中さんになり、女の子は来年幼稚園に入園します。矯正により安定した出産をされた患者様は数多くいらっしゃいますが、第2子の妊娠中のあれだけ急に悪化して急速に回復したギックリ腰が印象に強く残っていたためにご紹介させて頂きました。