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症例集CASES

カイロプラクティックと五十肩など肩の痛み

カイロプラクティックの矯正による肩の症状の改善例をご紹介します。肩はからだ中の関節の中で動きが大きい反面、安定性は低いため様々な症状が発生します。そのために肩周辺の問題は、腕、首、背中にも強い症状を起こしやすく、腰や首、内臓の疲労の影響で肩の症状が発生することもあります。肩の痛みが軽減するためには、腰や首などの骨格の安定性、そしてからだの中心と腕をつなぐ鎖骨の安定性が重要であると考えられます。

症例1 40代 女性
2か月ほど前から左肩に強い痛みを感じるようになり、次第に腕を拳上する動作が困難になり、着替えをするのも一苦労という状態になってしまい、当院の患者様の紹介で来院されました。

状態としては、腕の外転(からだの真横に腕を拳上する動作)はからだの側面から約20度程しか拳上できず、腕の伸展(前の方に万歳をする動作)は60度程しか拳上できない状態でした。また就寝時には仰向けで寝ると痛みが増加し、肘から手の先まで痛みが走り、握力が入らないとのことでした。腰椎と頸椎の動きがかなり減少していて、姿勢は猫背になり、この姿勢も肩の可動域に影響を与えていると思われます。

初回の矯正は、仰向けもうつ伏せも肩の痛みが増すために、座って行いました。腰椎と頸椎の矯正を行い鎖骨の矯正を行うと、仰向けでの痛みは軽減してきました。しかし腕の外転はあまり変化がなく伸展は多少拳上範囲が増えてきました。

2回目は3日後に行いました。外転と伸展は前回と変化はありませんでしたが、仰向けで寝るのが苦痛でなくなったために、耐えられる時間だけうつ伏せで矯正を行い、あとは仰向けで矯正しました。この日は腰椎、肝臓、横隔膜、そして鎖骨を矯正しました。こちらの患者様は鎖骨のバランスにより、握力の向上と他動運動(術者が動かす動き)の範囲が拡がるので、筋力検査と可動域の検査を繰り返し、最良の方向を確認しながら矯正を行いました。この日は外転が約90度、伸展は約120度程拳上することができました。

3回目の時は仰向け、うつ伏せでの痛みの憎悪はほぼなくなっていましたので、初回と比較して様々な検査と矯正が可能になりました。この日は肝臓、横隔膜、肩甲骨、鎖骨、棘上筋の矯正を行いました。また、この日は仰向けでの他動運動で伸展が180度程まで動かすことができたので、肩甲上腕関節(肩甲骨と腕の繋ぎ目の所)を痛みの減少する方向に矯正を行いました。この日は外転は頑張れば120度程、伸展は肘が多少曲がりますが、180度とほぼ真上まで拳上できました。

経過は最初の1か月に6回の矯正を行い、就寝時の痛みは治まり、伸展の動きは180度、肘と手先までの痛みはなくなりました。外転の動きは160度ほどで痛みが出ますが、着替えの動作はスムーズになってきたようてす。2か月目からは、外転も180度まで拳上できるようになり、多少ぎごちなさは残るものの、日常生活には支障がないとのことでした。現在は発症から約2年が経過していますが、3週に1回メンテナンスと再発防止のために矯正を行い、肩の状態をはじめ健康状態は安定しています。

俗にいう五十肩は、放っておいても改善すると言われていますが、長引くと半年または1年かかるとも言われて、回復にはそれなりの時間を要しますが、矯正により回復速度の短縮と再発の防止が期待できます。


症例2 60代 女性
来院された1か月半ほど前に左肩を脱臼し、整形外科にて整復を行ったそうです。2週間ほどで腕を動かすことは、だいぶ出来るようになったそうですが、安静時や就寝時に肩から腕、指先に常時鈍痛があるために来院されました。

状態としては、姿勢はかなりの猫背であり、左腕の伸展(万歳をする動作)と外転(腕を真横に拳上する動作)はともに180度くらいまで動かすことは出来ますが、かなりの苦痛を伴います。また、胸鎖関節(胸の中央の骨と鎖骨の内端の関節)、鎖骨の中央部、肩鎖関節(鎖骨の外端と肩甲骨の関節)と背骨側の肩甲骨周辺に強い圧痛があります。また、仰向けで寝て頂くとに、肩から指先までの痛みが憎悪するために、手の置き場き困るという状態です。
検査をすると骨格の負担の中心になっているのは骨盤から腰椎にかけての下半身と肝臓の負担が目立ち、肺がんの手術を経験した影響か、左右の肋骨がアンバランスで横隔膜の緊張が強いといった特徴がありました。

1回目は肝臓、横隔膜、腰椎、鎖骨の矯正を行いました。肝臓と横隔膜の矯正を行うと左右の肋骨のバランスが安定してくるためか、腕の可動域は改善してきました。鎖骨は胸鎖関節を矯正し、鎖骨全体を腕の動きに合わせて矯正すると、鎖骨から肩甲骨にかけての強い圧痛は軽減し、腕の置き場に困るという状態ではなくなりました。

2回目は4日後に行いました。前日までは調子が良かったそうですが、腕を酷使してしまったためにこの日は仰向けでの肩から指先までの痛みと鎖骨から肩甲骨にかけての圧痛はまだ残っていました。今回は腰椎、股関節、肝臓、横隔膜、鎖骨の矯正を行いました。結果、肩から指先までの痛みと圧痛はなくなりました。

3回目は3日後に行いました。仰向けでの痛みはほぼなくなっており、各部の圧痛もない状態でした。猫背の姿勢もだいぶ改善され、頸椎の動きがスムーズになってきたので、それに伴い肩周辺の柔軟性も増加してきました。この日は胃、腰椎、頭蓋骨、鎖骨、肩甲骨、肘、手首の矯正を行いました。

経過としては、2週目くらいから日常生活での苦痛や不便さはほぼ感じなくなってきたそうです。こちらの患者様は消化器系が弱く、内臓が疲労してくると上半身のゆがみが起こりやすくなるために、現在は2週間に1回矯正を継続しています。